1 - クラスター内のアプリケーションにアクセスするために外部IPアドレスを公開する

このページでは、外部IPアドレスを公開するKubernetesのServiceオブジェクトを作成する方法を示します。

始める前に

  • kubectlをインストールしてください。

  • Kubernetesクラスターを作成する際に、Google Kubernetes EngineやAmazon Web Servicesのようなクラウドプロバイダーを使用します。このチュートリアルでは、クラウドプロバイダーを必要とする外部ロードバランサーを作成します。

  • Kubernetes APIサーバーと通信するために、kubectlを設定してください。手順については、各クラウドプロバイダーのドキュメントを参照してください。

目標

  • 5つのインスタンスで実際のアプリケーションを起動します。
  • 外部IPアドレスを公開するServiceオブジェクトを作成します。
  • 起動中のアプリケーションにアクセスするためにServiceオブジェクトを使用します。

5つのPodで起動しているアプリケーションへのServiceの作成

  1. クラスターにてHello Worldアプリケーションを実行してください。
apiVersion: apps/v1
kind: Deployment
metadata:
  labels:
    app.kubernetes.io/name: load-balancer-example
  name: hello-world
spec:
  replicas: 5
  selector:
    matchLabels:
      app.kubernetes.io/name: load-balancer-example
  template:
    metadata:
      labels:
        app.kubernetes.io/name: load-balancer-example
    spec:
      containers:
      - image: gcr.io/google-samples/node-hello:1.0
        name: hello-world
        ports:
        - containerPort: 8080
kubectl apply -f https://k8s.io/examples/service/load-balancer-example.yaml

上記のコマンドにより、 Deploymentを作成し、ReplicaSetを関連づけます。ReplicaSetには5つのPodがあり、それぞれHello Worldアプリケーションが起動しています。

  1. Deploymentに関する情報を表示します:

     kubectl get deployments hello-world
     kubectl describe deployments hello-world
    
  2. ReplicaSetオブジェクトに関する情報を表示します:

     kubectl get replicasets
     kubectl describe replicasets
    
  3. Deploymentを公開するServiceオブジェクトを作成します。

     kubectl expose deployment hello-world --type=LoadBalancer --name=my-service
    
  4. Serviceに関する情報を表示します:

     kubectl get services my-service
    

    出力は次のようになります:

     NAME         TYPE           CLUSTER-IP     EXTERNAL-IP      PORT(S)    AGE
     my-service   LoadBalancer   10.3.245.137   104.198.205.71   8080/TCP   54s
    
  5. Serviceに関する詳細な情報を表示します:

     kubectl describe services my-service
    

    出力は次のようになります:

     Name:           my-service
     Namespace:      default
     Labels:         app.kubernetes.io/name=load-balancer-example
     Annotations:    <none>
     Selector:       app.kubernetes.io/name=load-balancer-example
     Type:           LoadBalancer
     IP:             10.3.245.137
     LoadBalancer Ingress:   104.198.205.71
     Port:           <unset> 8080/TCP
     NodePort:       <unset> 32377/TCP
     Endpoints:      10.0.0.6:8080,10.0.1.6:8080,10.0.1.7:8080 + 2 more...
     Session Affinity:   None
     Events:         <none>
    

    Serviceによって公開された外部IPアドレス(LoadBalancer Ingress)を記録しておいてください。 この例では、外部IPアドレスは104.198.205.71です。 また、PortおよびNodePortの値も控えてください。 この例では、Portは8080、NodePortは32377です。

  6. 先ほどの出力にて、Serviceにはいくつかのエンドポイントがあることを確認できます: 10.0.0.6:8080、 10.0.1.6:8080、10.0.1.7:8080、その他2つです。 これらはHello Worldアプリケーションが動作しているPodの内部IPアドレスです。 これらのPodのアドレスを確認するには、次のコマンドを実行します:

     kubectl get pods --output=wide
    

    出力は次のようになります:

     NAME                         ...  IP         NODE
     hello-world-2895499144-1jaz9 ...  10.0.1.6   gke-cluster-1-default-pool-e0b8d269-1afc
     hello-world-2895499144-2e5uh ...  10.0.1.8   gke-cluster-1-default-pool-e0b8d269-1afc
     hello-world-2895499144-9m4h1 ...  10.0.0.6   gke-cluster-1-default-pool-e0b8d269-5v7a
     hello-world-2895499144-o4z13 ...  10.0.1.7   gke-cluster-1-default-pool-e0b8d269-1afc
     hello-world-2895499144-segjf ...  10.0.2.5   gke-cluster-1-default-pool-e0b8d269-cpuc
    
  7. Hello Worldアプリケーションにアクセスするために、外部IPアドレス(LoadBalancer Ingress)を使用します:

     curl http://<external-ip>:<port>
    

    ここで、<external-ip>はServiceの外部IPアドレス(LoadBalancer Ingress)で、 <port>はServiceの詳細出力におけるPortです。minikubeを使用している場合、minikube service my-serviceを実行することでHello Worldアプリケーションをブラウザで自動的に 開かれます。

    正常なリクエストに対するレスポンスは、helloメッセージです:

     Hello Kubernetes!
    

クリーンアップ

Serviceを削除する場合、次のコマンドを実行します:

kubectl delete services my-service

Deployment、ReplicaSet、およびHello Worldアプリケーションが動作しているPodを削除する場合、次のコマンドを実行します:

kubectl delete deployment hello-world

次の項目

connecting applications with servicesにて詳細を学ぶことができます。

2 - 例: Redisを使用したPHPのゲストブックアプリケーションのデプロイ

このチュートリアルでは、KubernetesとDockerを使用した、シンプルなマルチティアのウェブアプリケーションのビルドとデプロイの方法を紹介します。この例は、以下のコンポーネントから構成されています。

  • ゲストブックのエントリーを保存するための、シングルインスタンスのRedisマスター
  • 読み込みデータ配信用の、複数のレプリケーションされたRedisインスタンス
  • 複数のウェブフロントエンドのインスタンス

目標

  • Redisのマスターを起動する。
  • Redisのスレーブを起動する。
  • ゲストブックのフロントエンドを起動する。
  • フロントエンドのServiceを公開して表示を確認する。
  • クリーンアップする。

始める前に

Kubernetesクラスターが必要、かつそのクラスターと通信するためにkubectlコマンドラインツールが設定されている必要があります。 このチュートリアルは、コントロールプレーンのホストとして動作していない少なくとも2つのノードを持つクラスターで実行することをおすすめします。 まだクラスターがない場合、minikubeを使って作成するか、 以下のいずれかのKubernetesプレイグラウンドも使用できます:

バージョンを確認するには次のコマンドを実行してください: kubectl version.

Redisのマスターを起動する

ゲストブックアプリケーションでは、データを保存するためにRedisを使用します。ゲストブックはRedisのマスターインスタンスにデータを書き込み、複数のRedisのスレーブインスタンスからデータを読み込みます。

RedisのマスターのDeploymentを作成する

以下のマニフェストファイルは、シングルレプリカのRedisのマスターPodを実行するDeploymentコントローラーを指定しています。

apiVersion: apps/v1 # for versions before 1.9.0 use apps/v1beta2
kind: Deployment
metadata:
  name: redis-master
  labels:
    app: redis
spec:
  selector:
    matchLabels:
      app: redis
      role: master
      tier: backend
  replicas: 1
  template:
    metadata:
      labels:
        app: redis
        role: master
        tier: backend
    spec:
      containers:
      - name: master
        image: registry.k8s.io/redis:e2e  # or just image: redis
        resources:
          requests:
            cpu: 100m
            memory: 100Mi
        ports:
        - containerPort: 6379
  1. マニフェストファイルをダウンロードしたディレクトリ内で、ターミナルウィンドウを起動します。

  2. redis-master-deployment.yamlファイルから、RedisのマスターのDeploymentを適用します。

    kubectl apply -f https://k8s.io/examples/application/guestbook/redis-master-deployment.yaml
    
  3. Podのリストを問い合わせて、RedisのマスターのPodが実行中になっていることを確認します。

    kubectl get pods
    

    結果は次のようになるはずです。

    NAME                            READY     STATUS    RESTARTS   AGE
    redis-master-1068406935-3lswp   1/1       Running   0          28s
    
  4. 次のコマンドを実行して、RedisのマスターのPodからログを表示します。

    kubectl logs -f POD-NAME
    

RedisのマスターのServiceを作成する

ゲストブックアプリケーションは、データを書き込むためにRedisのマスターと通信する必要があります。そのためには、Serviceを適用して、トラフィックをRedisのマスターのPodへプロキシーしなければなりません。Serviceは、Podにアクセスするためのポリシーを指定します。

apiVersion: v1
kind: Service
metadata:
  name: redis-master
  labels:
    app: redis
    role: master
    tier: backend
spec:
  ports:
  - port: 6379
    targetPort: 6379
  selector:
    app: redis
    role: master
    tier: backend
  1. 次のredis-master-service.yamlから、RedisのマスターのServiceを適用します。

    kubectl apply -f https://k8s.io/examples/application/guestbook/redis-master-service.yaml
    
  2. Serviceのリストを問い合わせて、RedisのマスターのServiceが実行中になっていることを確認します。

    kubectl get service
    

    The response should be similar to this:

    NAME           TYPE        CLUSTER-IP   EXTERNAL-IP   PORT(S)    AGE
    kubernetes     ClusterIP   10.0.0.1     <none>        443/TCP    1m
    redis-master   ClusterIP   10.0.0.151   <none>        6379/TCP   8s
    

Redisのスレーブを起動する

Redisのマスターは1つのPodですが、レプリカのRedisのスレーブを追加することで、トラフィックの需要を満たすための高い可用性を持たせることができます。

RedisのスレーブのDeploymentを作成する

Deploymentはマニフェストファイル内に書かれた設定に基づいてスケールします。ここでは、Deploymentオブジェクトは2つのレプリカを指定しています。

もし1つもレプリカが実行されていなければ、このDeploymentは2つのレプリカをコンテナクラスター上で起動します。逆に、もしすでに2つ以上のレプリカが実行されていれば、実行中のレプリカが2つになるようにスケールダウンします。

apiVersion: apps/v1 # for versions before 1.9.0 use apps/v1beta2
kind: Deployment
metadata:
  name: redis-slave
  labels:
    app: redis
spec:
  selector:
    matchLabels:
      app: redis
      role: slave
      tier: backend
  replicas: 2
  template:
    metadata:
      labels:
        app: redis
        role: slave
        tier: backend
    spec:
      containers:
      - name: slave
        image: gcr.io/google_samples/gb-redisslave:v3
        resources:
          requests:
            cpu: 100m
            memory: 100Mi
        env:
        - name: GET_HOSTS_FROM
          value: dns
          # Using `GET_HOSTS_FROM=dns` requires your cluster to
          # provide a dns service. As of Kubernetes 1.3, DNS is a built-in
          # service launched automatically. However, if the cluster you are using
          # does not have a built-in DNS service, you can instead
          # access an environment variable to find the master
          # service's host. To do so, comment out the 'value: dns' line above, and
          # uncomment the line below:
          # value: env
        ports:
        - containerPort: 6379
  1. redis-slave-deployment.yamlファイルから、RedisのスレーブのDeploymentを適用します。

    kubectl apply -f https://k8s.io/examples/application/guestbook/redis-slave-deployment.yaml
    
  2. Podのリストを問い合わせて、RedisのスレーブのPodが実行中になっていることを確認します。

    kubectl get pods
    

    結果は次のようになるはずです。

    NAME                            READY     STATUS              RESTARTS   AGE
    redis-master-1068406935-3lswp   1/1       Running             0          1m
    redis-slave-2005841000-fpvqc    0/1       ContainerCreating   0          6s
    redis-slave-2005841000-phfv9    0/1       ContainerCreating   0          6s
    

RedisのスレーブのServiceを作成する

ゲストブックアプリケーションは、データを読み込むためにRedisのスレーブと通信する必要があります。Redisのスレーブが発見できるようにするためには、Serviceをセットアップする必要があります。Serviceは一連のPodに対する透過的なロードバランシングを提供します。

apiVersion: v1
kind: Service
metadata:
  name: redis-slave
  labels:
    app: redis
    role: slave
    tier: backend
spec:
  ports:
  - port: 6379
  selector:
    app: redis
    role: slave
    tier: backend
  1. 次のredis-slave-service.yamlファイルから、RedisのスレーブのServiceを適用します。

    kubectl apply -f https://k8s.io/examples/application/guestbook/redis-slave-service.yaml
    
  2. Serviceのリストを問い合わせて、RedisのスレーブのServiceが実行中になっていることを確認します。

    kubectl get services
    

    結果は次のようになるはずです。

    NAME           TYPE        CLUSTER-IP   EXTERNAL-IP   PORT(S)    AGE
    kubernetes     ClusterIP   10.0.0.1     <none>        443/TCP    2m
    redis-master   ClusterIP   10.0.0.151   <none>        6379/TCP   1m
    redis-slave    ClusterIP   10.0.0.223   <none>        6379/TCP   6s
    

ゲストブックのフロントエンドをセットアップして公開する

ゲストブックアプリケーションには、HTTPリクエストをサーブするPHPで書かれたウェブフロントエンドがあります。このアプリケーションは、書き込みリクエストに対してはredis-master Serviceに、読み込みリクエストに対してはredis-slave Serviceに接続するように設定されています。

ゲストブックのフロントエンドのDeploymentを作成する

apiVersion: apps/v1 # for versions before 1.9.0 use apps/v1beta2
kind: Deployment
metadata:
  name: frontend
  labels:
    app: guestbook
spec:
  selector:
    matchLabels:
      app: guestbook
      tier: frontend
  replicas: 3
  template:
    metadata:
      labels:
        app: guestbook
        tier: frontend
    spec:
      containers:
      - name: php-redis
        image: gcr.io/google-samples/gb-frontend:v4
        resources:
          requests:
            cpu: 100m
            memory: 100Mi
        env:
        - name: GET_HOSTS_FROM
          value: dns
          # Using `GET_HOSTS_FROM=dns` requires your cluster to
          # provide a dns service. As of Kubernetes 1.3, DNS is a built-in
          # service launched automatically. However, if the cluster you are using
          # does not have a built-in DNS service, you can instead
          # access an environment variable to find the master
          # service's host. To do so, comment out the 'value: dns' line above, and
          # uncomment the line below:
          # value: env
        ports:
        - containerPort: 80
  1. frontend-deployment.yamlファイルから、フロントエンドのDeploymentを適用します。

    kubectl apply -f https://k8s.io/examples/application/guestbook/frontend-deployment.yaml
    
  2. Podのリストを問い合わせて、3つのフロントエンドのレプリカが実行中になっていることを確認します。

    kubectl get pods -l app.kubernetes.io/name=guestbook -l app.kubernetes.io/component=frontend
    

    結果は次のようになるはずです。

    NAME                        READY     STATUS    RESTARTS   AGE
    frontend-3823415956-dsvc5   1/1       Running   0          54s
    frontend-3823415956-k22zn   1/1       Running   0          54s
    frontend-3823415956-w9gbt   1/1       Running   0          54s
    

フロントエンドのServiceを作成する

適用したredis-slaveおよびredis-master Serviceは、コンテナクラスター内部からのみアクセス可能です。これは、デフォルトのServiceのtypeがClusterIPであるためです。ClusterIPは、Serviceが指している一連のPodに対して1つのIPアドレスを提供します。このIPアドレスはクラスター内部からのみアクセスできます。

もしゲストの人にゲストブックにアクセスしてほしいのなら、フロントエンドServiceを外部から見えるように設定しなければなりません。そうすれば、クライアントはコンテナクラスターの外部からServiceにリクエストを送れるようになります。Minikubeでは、ServiceをNodePortでのみ公開できます。

apiVersion: v1
kind: Service
metadata:
  name: frontend
  labels:
    app: guestbook
    tier: frontend
spec:
  # comment or delete the following line if you want to use a LoadBalancer
  type: NodePort 
  # if your cluster supports it, uncomment the following to automatically create
  # an external load-balanced IP for the frontend service.
  # type: LoadBalancer
  ports:
  - port: 80
  selector:
    app: guestbook
    tier: frontend
  1. frontend-service.yamlファイルから、フロントエンドのServiceを提供します。

    kubectl apply -f https://k8s.io/examples/application/guestbook/frontend-service.yaml
    
  2. Serviceのリストを問い合わせて、フロントエンドのServiceが実行中であることを確認します。

    kubectl get services
    

    結果は次のようになるはずです。

    NAME           TYPE        CLUSTER-IP   EXTERNAL-IP   PORT(S)        AGE
    frontend       NodePort    10.0.0.112   <none>       80:31323/TCP   6s
    kubernetes     ClusterIP   10.0.0.1     <none>        443/TCP        4m
    redis-master   ClusterIP   10.0.0.151   <none>        6379/TCP       2m
    redis-slave    ClusterIP   10.0.0.223   <none>        6379/TCP       1m
    

フロントエンドのServiceをNodePort経由で表示する

このアプリケーションをMinikubeやローカルのクラスターにデプロイした場合、ゲストブックを表示するためのIPアドレスを見つける必要があります。

  1. 次のコマンドを実行すると、フロントエンドServiceに対するIPアドレスを取得できます。

    minikube service frontend --url
    

    結果は次のようになるはずです。

    http://192.168.99.100:31323
    
  2. IPアドレスをコピーして、ブラウザー上でページを読み込み、ゲストブックを表示しましょう。

フロントエンドのServiceをLoadBalancer経由で表示する

もしfrontend-service.yamlマニフェストをtype: LoadBalancerでデプロイした場合、ゲストブックを表示するためのIPアドレスを見つける必要があります。

  1. 次のコマンドを実行すると、フロントエンドServiceに対するIPアドレスを取得できます。

    kubectl get service frontend
    

    結果は次のようになるはずです。

    NAME       TYPE        CLUSTER-IP      EXTERNAL-IP        PORT(S)        AGE
    frontend   ClusterIP   10.51.242.136   109.197.92.229     80:32372/TCP   1m
    
  2. 外部IPアドレス(EXTERNAL-IP)をコピーして、ブラウザー上でページを読み込み、ゲストブックを表示しましょう。

ウェブフロントエンドをスケールする

サーバーがDeploymentコントローラーを使用するServiceとして定義されているため、スケールアップやスケールダウンは簡単です。

  1. 次のコマンドを実行すると、フロントエンドのPodの数をスケールアップできます。

    kubectl scale deployment frontend --replicas=5
    
  2. Podのリストを問い合わせて、実行中のフロントエンドのPodの数を確認します。

    kubectl get pods
    

    結果は次のようになるはずです。

    NAME                            READY     STATUS    RESTARTS   AGE
    frontend-3823415956-70qj5       1/1       Running   0          5s
    frontend-3823415956-dsvc5       1/1       Running   0          54m
    frontend-3823415956-k22zn       1/1       Running   0          54m
    frontend-3823415956-w9gbt       1/1       Running   0          54m
    frontend-3823415956-x2pld       1/1       Running   0          5s
    redis-master-1068406935-3lswp   1/1       Running   0          56m
    redis-slave-2005841000-fpvqc    1/1       Running   0          55m
    redis-slave-2005841000-phfv9    1/1       Running   0          55m
    
  3. 次のコマンドを実行すると、フロントエンドのPodの数をスケールダウンできます。

    kubectl scale deployment frontend --replicas=2
    
  4. Podのリストを問い合わせて、実行中のフロントエンドのPodの数を確認します。

    kubectl get pods
    

    結果は次のようになるはずです。

    NAME                            READY     STATUS    RESTARTS   AGE
    frontend-3823415956-k22zn       1/1       Running   0          1h
    frontend-3823415956-w9gbt       1/1       Running   0          1h
    redis-master-1068406935-3lswp   1/1       Running   0          1h
    redis-slave-2005841000-fpvqc    1/1       Running   0          1h
    redis-slave-2005841000-phfv9    1/1       Running   0          1h
    

クリーンアップ

DeploymentとServiceを削除すると、実行中のPodも削除されます。ラベルを使用すると、複数のリソースを1つのコマンドで削除できます。

  1. 次のコマンドを実行すると、すべてのPod、Deployment、Serviceが削除されます。

    kubectl delete deployment -l app=redis
    kubectl delete service -l app=redis
    kubectl delete deployment -l app=guestbook
    kubectl delete service -l app=guestbook
    

    結果は次のようになるはずです。

    deployment.apps "redis-master" deleted
    deployment.apps "redis-slave" deleted
    service "redis-master" deleted
    service "redis-slave" deleted
    deployment.apps "frontend" deleted
    service "frontend" deleted
    
  2. Podのリストを問い合わせて、実行中のPodが存在しないことを確認します。

    kubectl get pods
    

    結果は次のようになるはずです。

    No resources found.
    

次の項目

3 - 例: PHP / Redisを使用したゲストブックの例にロギングとメトリクスを追加する

このチュートリアルは、Redisを使用したPHPのゲストブックのチュートリアルを前提に作られています。Elasticが開発したログ、メトリクス、ネットワークデータを転送するオープンソースの軽量データシッパーであるBeatsを、ゲストブックと同じKubernetesクラスターにデプロイします。BeatsはElasticsearchに対してデータの収集、分析、インデックス作成を行うため、結果の運用情報をKibana上で表示・分析できるようになります。この例は、以下のコンポーネントから構成されます。

目標

  • Redisを使用したPHPのゲストブックを起動する。
  • kube-state-metricsをインストールする。
  • KubernetesのSecretを作成する。
  • Beatsをデプロイする。
  • ログとメトリクスのダッシュボードを表示する。

始める前に

Kubernetesクラスターが必要、かつそのクラスターと通信するためにkubectlコマンドラインツールが設定されている必要があります。 このチュートリアルは、コントロールプレーンのホストとして動作していない少なくとも2つのノードを持つクラスターで実行することをおすすめします。 まだクラスターがない場合、minikubeを使って作成するか、 以下のいずれかのKubernetesプレイグラウンドも使用できます:

バージョンを確認するには次のコマンドを実行してください: kubectl version.

追加で以下の作業が必要です。

Redisを使用したPHPのゲストブックを起動する

このチュートリアルは、Redisを使用したPHPのゲストブックのチュートリアルを前提に作られています。もしゲストブックアプリケーションが実行中なら、そのアプリケーションを監視できます。もしまだ実行中のアプリケーションがなければ、ゲストブックのデプロイの手順を行い、クリーンアップのステップは実行しないでください。ゲストブックが起動したら、このページに戻ってきてください。

Cluster role bindingを追加する

クラスターレベルのrole bindingを作成して、kube-state-metricsとBeatsをクラスターレベルで(kube-system内に)デプロイできるようにします。

kubectl create clusterrolebinding cluster-admin-binding \
 --clusterrole=cluster-admin --user=<k8sのプロバイダーアカウントと紐付いたあなたのメールアドレス>

kube-state-metricsをインストールする

Kubernetesのkube-state-metricsは、Kubernetes APIサーバーをlistenして、オブジェクトの状態に関するメトリクスを生成する単純なサービスです。Metricbeatはこれらのメトリクスを報告します。kube-state-metricsをゲストブックが実行されているKubernetesクラスターに追加しましょう。

kube-state-metricsが起動しているか確認する

kubectl get pods --namespace=kube-system | grep kube-state

必要に応じてkube-state-metricsをインストールする

git clone https://github.com/kubernetes/kube-state-metrics.git kube-state-metrics
kubectl apply -f kube-state-metrics/examples/standard
kubectl get pods --namespace=kube-system | grep kube-state-metrics

kube-state-metricsがRunningかつreadyの状態になっていることを確認します。

kubectl get pods -n kube-system -l app.kubernetes.io/name=kube-state-metrics

結果は次のようになります。

NAME                                 READY   STATUS    RESTARTS   AGE
kube-state-metrics-89d656bf8-vdthm   1/1     Running     0          21s

GitHubリポジトリのElasticの例をクローンする

git clone https://github.com/elastic/examples.git

これ以降のコマンドはexamples/beats-k8s-send-anywhereディレクトリ内のファイルを参照するため、カレントディレクトリを変更します。

cd examples/beats-k8s-send-anywhere

KubernetesのSecretを作成する

KubernetesのSecretとは、パスワード、トークン、または鍵などの小さなサイズの機密データを含んだオブジェクトのことです。このような機密情報はPodのspecやイメージの中に置くことも不可能ではありませんが、Secretオブジェクトの中に置くことで、情報の使用方法を適切に制御したり、誤って公開してしまうリスクを減らすことができます。

セルフマネージド

Elastic Cloud上のElasticsearch Serviceに接続する場合は、マネージドサービスタブに切り替えてください。

クレデンシャルを設定する

セルフマネージドのElasticsearchとKibanaへ接続する場合、KubernetesのSecretを作成するために編集するべきファイルは4つあります(セルフマネージドとは、事実上Elastic Cloud以外で実行されているElasticsearch Serviceを指します)。ファイルは次の4つです。

  1. ELASTICSEARCH_HOSTS
  2. ELASTICSEARCH_PASSWORD
  3. ELASTICSEARCH_USERNAME
  4. KIBANA_HOST

これらのファイルにElasticsearchクラスターとKibanaホストの情報を設定してください。ここでは例をいくつか示します(こちらの設定も参照してください)。

ELASTICSEARCH_HOSTS

  1. Elastic Elasticsearch Helm Chartで作成したnodeGroupの場合。

    ["http://elasticsearch-master.default.svc.cluster.local:9200"]
    
  2. Mac上で単一のElasticsearchノードが実行されており、BeatsがDocker for Macで実行中の場合。

    ["http://host.docker.internal:9200"]
    
  3. 2ノードのElasticsearchがVM上または物理ハードウェア上で実行中の場合。

    ["http://host1.example.com:9200", "http://host2.example.com:9200"]
    

ELASTICSEARCH_HOSTSを編集します。

vi ELASTICSEARCH_HOSTS

ELASTICSEARCH_PASSWORD

パスワードだけを書きます。空白、クォート、<>などの文字は書かないでください。

<yoursecretpassword>

ELASTICSEARCH_PASSWORDを編集します。

vi ELASTICSEARCH_PASSWORD

ELASTICSEARCH_USERNAME

ユーザー名だけを書きます。空白、クォート、<>などの文字は書かないでください。

<Elasticsearchに追加するユーザー名>

ELASTICSEARCH_USERNAMEを編集します。

vi ELASTICSEARCH_USERNAME

KIBANA_HOST

  1. Elastic Kibana Helm Chartで作成したKibanaインスタンスが実行中の場合。defaultというサブドメインは、default Namespaceを指します。もしHelm Chartを別のNamespaceにデプロイした場合、サブドメインは異なります。

    "kibana-kibana.default.svc.cluster.local:5601"
    
  2. Mac上でKibanaインスタンスが実行中で、BeatsがDocker for Macで実行中の場合。

    "host.docker.internal:5601"
    
  3. 2つのElasticsearchノードが、VMまたは物理ハードウェア上で実行中の場合。

    "host1.example.com:5601"
    

KIBANA_HOSTを編集します。

vi KIBANA_HOST

KubernetesのSecretを作成する

次のコマンドを実行すると、KubernetesのシステムレベルのNamespace(kube-system)に、たった今編集したファイルを元にSecretが作成されます。

kubectl create secret generic dynamic-logging \
  --from-file=./ELASTICSEARCH_HOSTS \
  --from-file=./ELASTICSEARCH_PASSWORD \
  --from-file=./ELASTICSEARCH_USERNAME \
  --from-file=./KIBANA_HOST \
  --namespace=kube-system

マネージドサービス

このタブは、Elastic Cloud上のElasticsearch Serviceの場合のみ必要です。もしセルフマネージドのElasticsearchとKibanaのDeployment向けにSecretをすでに作成した場合、Beatsをデプロイするに進んでください。

クレデンシャルを設定する

Elastic Cloud上のマネージドElasticsearch Serviceに接続する場合、KubernetesのSecretを作成するために編集する必要があるのは、次の2つのファイルです。

  1. ELASTIC_CLOUD_AUTH
  2. ELASTIC_CLOUD_ID

Deploymentを作成するときに、Elasticsearch Serviceのコンソールから提供された情報を設定してください。以下に例を示します。

ELASTIC_CLOUD_ID

devk8s:ABC123def456ghi789jkl123mno456pqr789stu123vwx456yza789bcd012efg345hijj678klm901nop345zEwOTJjMTc5YWQ0YzQ5OThlN2U5MjAwYTg4NTIzZQ==

ELASTIC_CLOUD_AUTH

ユーザー名、コロン(:)、パスワードだけを書きます。空白やクォートは書かないでください。

elastic:VFxJJf9Tjwer90wnfTghsn8w

必要なファイルを編集する

vi ELASTIC_CLOUD_ID
vi ELASTIC_CLOUD_AUTH

KubernetesのSecretを作成する

次のコマンドを実行すると、KubernetesのシステムレベルのNamespace(kube-system)に、たった今編集したファイルを元にSecretが作成されます。

kubectl create secret generic dynamic-logging \
  --from-file=./ELASTIC_CLOUD_ID \
  --from-file=./ELASTIC_CLOUD_AUTH \
  --namespace=kube-system

Beatsをデプロイする

マニフェストファイルはBeatごとに提供されます。これらのマニフェストファイルは、上で作成したSecretを使用して、BeatsをElasticsearchおよびKibanaサーバーに接続するように設定します。

Filebeatについて

Filebeatは、Kubernetesのノードと、ノード上で実行している各Pod内のコンテナから、ログを収集します。FilebeatはDaemonSetとしてデプロイされます。FilebeatはKubernetesクラスター上で実行されているアプリケーションを自動検出することもできます。起動時にFilebeatは既存のコンテナをスキャンし、それらに対して適切な設定を立ち上げ、その後、新しいstart/stopイベントを監視します。

Filebeatが、ゲストブックアプリケーションでデプロイしたRedisコンテナからRedisのログを特定・解析できるように自動検出を設定する例を示します。この設定はfilebeat-kubernetes.yamlファイル内にあります。

- condition.contains:
    kubernetes.labels.app: redis
  config:
    - module: redis
      log:
        input:
          type: docker
          containers.ids:
            - ${data.kubernetes.container.id}
      slowlog:
        enabled: true
        var.hosts: ["${data.host}:${data.port}"]

この設定により、Filebeatは、appラベルにredisという文字列が含まれるコンテナを検出したときにredis Filebeatモジュールを適用するようになります。redisモジュールには、input typeとしてdockerを使用することで(このRedisコンテナの標準出力のストリームと関連付けられた、Kubernetesノード上のファイルを読み取ることで)コンテナからlogストリームを収集する機能があります。さらに、このモジュールには、コンテナのメタデータとして提供された適切なPodのホストとポートと接続することにより、Redisのslowlogエントリーを収集する機能もあります。

Filebeatをデプロイする

kubectl create -f filebeat-kubernetes.yaml

検証する

kubectl get pods -n kube-system -l k8s-app=filebeat-dynamic

Metricbeatについて

Metricbeatの自動検出はFilebeatと同じ方法で設定します。以下にMetricbeatにおけるRedisコンテナの自動検出の設定を示します。この設定はmetricbeat-kubernetes.yamlファイル内にあります。

- condition.equals:
    kubernetes.labels.tier: backend
  config:
    - module: redis
      metricsets: ["info", "keyspace"]
      period: 10s

      # Redis hosts
      hosts: ["${data.host}:${data.port}"]

この設定により、Metricbeatは、tierラベルにbackendという文字列が含まれるコンテナを検出したときにredis Metricbeatモジュールを適用するようになります。redisモジュールには、コンテナのメタデータとして提供された適切なPodのホストとポートと接続することにより、コンテナからinfoおよびkeyspaceメトリクスを収集する機能があります。

Metricbeatをデプロイする

kubectl create -f metricbeat-kubernetes.yaml

検証する

kubectl get pods -n kube-system -l k8s-app=metricbeat

Packetbeatについて

Packetbeatの設定は、FilebeatやMetricbeatとは異なります。コンテナのラベルに対するパターンマッチを指定する代わりに、関連するプロトコルとポート番号に基づいた設定を書きます。以下に示すのは、ポート番号のサブセットです。

packetbeat.interfaces.device: any

packetbeat.protocols:
- type: dns
  ports: [53]
  include_authorities: true
  include_additionals: true

- type: http
  ports: [80, 8000, 8080, 9200]

- type: mysql
  ports: [3306]

- type: redis
  ports: [6379]

packetbeat.flows:
  timeout: 30s
  period: 10s

Packetbeatをデプロイする

kubectl create -f packetbeat-kubernetes.yaml

検証する

kubectl get pods -n kube-system -l k8s-app=packetbeat-dynamic

Kibanaで表示する

ブラウザでKibanaを開き、Dashboardアプリケーションを開きます。検索バーでKubernetesと入力して、KubernetesのためのMetricbeatダッシュボードを開きます。このダッシュボードでは、NodeやDeploymentなどの状態のレポートが表示されます。

DashboardページでPacketbeatと検索し、Packetbeat overviewを表示します。

同様に、ApacheおよびRedisのためのDashboardを表示します。それぞれに対してログとメトリクスのDashboardが表示されます。Apache Metricbeat dashboardには何も表示されていないはずです。Apache Filebeat dashboardを表示して、ページの最下部までスクロールしてApacheのエラーログを確認します。ログを読むと、Apacheのメトリクスが表示されない理由が分かります。

Metricbeatを有効にしてApacheのメトリクスを取得するには、mod-status設定ファイルを含んだConfigMapを追加してゲストブックを再デプロイすることで、server-statusを有効にします。

Deploymentをスケールして新しいPodが監視されるのを確認する

存在するDeploymentを一覧します。

kubectl get deployments

出力は次のようになります。

NAME            READY   UP-TO-DATE   AVAILABLE   AGE
frontend        3/3     3            3           3h27m
redis-master    1/1     1            1           3h27m
redis-slave     2/2     2            2           3h27m

frontendのPodを2つにスケールダウンします。

kubectl scale --replicas=2 deployment/frontend

出力は次のようになります。

deployment.extensions/frontend scaled

frontendのPodを再び3つにスケールアップします。

kubectl scale --replicas=3 deployment/frontend

Kibana上で変更を表示する

スクリーンショットを確認し、指定されたフィルターを追加して、ビューにカラムを追加します。赤い枠の右下を見ると、ScalingReplicaSetというエントリーが確認できます。そこからリストを上に見てゆくと、イメージのpull、ボリュームのマウント、Podのスタートなどのイベントが確認できます。

Kibana Discover

クリーンアップ

DeploymentとServiceを削除すると、実行中のすべてのPodも削除されます。ラベルを使って複数のリソースを1つのコマンドで削除します。

  1. 次のコマンドを実行して、すべてのPod、Deployment、Serviceを削除します。

    kubectl delete deployment -l app=redis
    kubectl delete service -l app=redis
    kubectl delete deployment -l app=guestbook
    kubectl delete service -l app=guestbook
    kubectl delete -f filebeat-kubernetes.yaml
    kubectl delete -f metricbeat-kubernetes.yaml
    kubectl delete -f packetbeat-kubernetes.yaml
    kubectl delete secret dynamic-logging -n kube-system
    
  2. Podの一覧を問い合わせて、実行中のPodがなくなったことを確認します。

    kubectl get pods
    

    結果は次のようになるはずです。

    No resources found.
    

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